¶熱・統計力学
久保亮五先生の演習書と鈴木増雄先生のEが詳しい。
化学熱力学については
サイエンス社の演習書などで計算練習をしておくと良い。
非平衡統計熱力学は暇を見つけて一度本格的に勉強しておきたい。
¶流体力学
今井功先生の
流体力学は言葉の定義が明確で良いです。約90歳のご高齢なのに
現在も達者ではっきりした話し方をされます。習ってみたかった
すばらしい先生です。
30講シリーズも良いです。
流体力学:安定性と乱流は退官された恩師の神部勉先生の共著だから
というわけではありませんが乱流について詳しく書かれた新しい本(*)です。
(すみません,内容が濃くてまだ読み終えていません。
でも先生のように実験とともに理論を進めるというのは理想的な研究法だ
と思いますし流体は工学的にも大変重要です。
複雑な現象が多いですが,原子力発電所やロケットの事故原因にも関係する
のですから,多くの学生がちゃんと学ぶべきだと思います)。
Dの宇宙流体力学は視点が新鮮。
キノコ雲の理由がわかって恐いような気もします。
(*)
乱流力学も新しく詳しくて良いです。
¶相対性理論
相対論の教科書はあまたありますが,何といっても内山龍雄先生のCが好きです。
方程式の解法や数学的変形よりもその導き方や必要とされる空間の一様性などの
物理的仮定,共変性のような言葉の意味,を重視しているからです。哲学しています。
紹介し教えてくださった自然科学研究会の先輩の伊藤氏,高橋氏に感謝いたします。
原論文の
アインシュタイン選集;1は,時刻の合わせ方などが詳しくて感慨深い。
これには量子論やブラウン運動についての論文も載っています。
一般相対論については
P.A.M.ディラック著のものが非常にわかりやすい。
(蛇足:ディラックは寡黙な人だったそうですが,どの著書にもできるだけ
簡潔にわかりやすく筋道立てて書くという性格が明確に現れていて興味深いです。
他方ワインバーグは,筋道を略さずに書くと長くなってしまう性格らしく,
補遺も長いし「初めて読むときは飛ばしても良い」なんて
わざわざ注釈してあったりもします。
不思議なことですがどちらも偉大な物理学者で大好きです。
ワインバーグは後の時代なので知識が増えて複雑化してしまうのは
仕方ないのかもしれません。)
Eは空間の分類について詳しいが記号が繁雑で難解。
数学を難解にしている原因のひとつは概念そのものよりも記号ではないでしょうか。
たとえば微分演算子がどの項まで作用するのかなどが明確になる記法は
ないものでしょうか?このようなことで悩むのは時間の無駄です。
しかし新しい結果や定理が多いので良いと思います。